ついひと昔前までは、カンボジアでは家事の合間に綿花を紡ぎ、糸を作っては時間のある時にクロマーを作っていました。高床式のお家の一階部分には農業に使う道具か、織り機がおかれている風景がよく見られていたそうです。しかし最近では、繊維が短く切れやすいこともあって、綿を作ったクロマーはほとんど街中で見かけなくなり、混合繊維の紡績糸を使ったものが主流になりました。けれども、純綿を使って織った布は、手間ひまはかかりますが、この綿でしか味わえない肌触りのよい柔らかさと、吸収性があります。
そこで私たちは糸にのり付けをすることで切れにくい糸にし、たて糸、よこ糸共にこの綿糸を使ってクロマーを作り始めました。また、綿はもともと絹と違って植物染料では染まりにくい性質ですが、下地をつけることによってやさしいきれいな色を染めることが出来ます。私達は綿の植物染めのクロマーを作ることを目標にして、2004年8月にやっと完成しました。初めは一色だったものが今ではたくさんの色あわせが出来るようになりました。
植物染料は、カンボジアの国にある樹や果実を集めて使っています。これらの作業はすべて生徒たちの手によるもので、時間をかけることで薬品を全く使わず自然にある物を利用してこのクロマーを作ることが出来ました。
一言に綿のクロマーを作ると言っても、今まで化学繊維になれてきた生徒達にとっては綿の扱いに戸惑い、たくさんの問題、課題がありました。
無理だと言われ続けた日々。
それでも協力して時間をかけて生地を織ってくれた生徒達。
毎日いろいろな問題と向き合いながら作り続けてきた私たちの活動を少しづつアップしていきたいと思っています。
この黄色は私たちが初めて植物染料で染めた糸です。(2004年7月15日)