綿100%のクロマー作り
縦糸にのりを付ける作業風景
のりをつけた糸を絞っている所なのですが、ぞうきんを絞るように手で絞ってしまうと糸にのりがムラになってついてしまうため、乾燥させる際に半乾きのところが出来てきてしまったりします。
このようにしてテンションをかけながら絞ることで糸全体に均一にのりがつくようになります。
カンボジアの織物の基本はこのクロマー作り。
カンボジアのどの家庭でも使われているチェック柄のクロマーは暑いカンボジアの気候では日中の日よけはもちろんのこと、汗を拭ったり、手を洗ったときにさっと拭いたり、水浴びをするときのバスタオル代わりにもなります。(カンボジアではタオルは普通の布より高いのでほとんどの生徒はタオルを持っていません)本当にいろいろな場面で使うのですが、残念なことに町中で見かけるクロマーは、綿で織られているものはほとんどないのです。
昔はコンポンチャムという地域で綿の栽培を行っていてその糸を使って織物をしていたのですが、
合成繊維が入ってくると、糸の切れにくさ、染色時の発色の良さからレーヨンやポリエステルなどの糸を使うようになり、普通の農村では綿の織物は見かけなくなりました。
カンボジアに住んでいる海外の人々などからカンボジアは綿の生地がないとよく聞かされていて、
また知り合いの方々からも綿のクロマーが欲しいと何度も聞くたびにこれだけ需要があれば訓練所の生徒たちが技術を学びながらもある程度の賃金を得ることが出来るのではないかと思い、綿でクロマーを作ろうとセンター長に持ちかけることになりました。
が、綿は織るときに切れやすく商品にならない。時間がかかって生徒たちが嫌がる。綿は染色がうまく出来ない。
誰も買わない。
と、全く聞く耳持たず。
しかし、こんな所ではあきらめるわけにはいかず、必ず生徒たちの技術を向上させながら市場を確保できるはずだからなんとかやってみよう、とセンター長を説得し疑いの目をむけられたまま?使い始めることが出来たのです。
今まではもう既に染色されている糸を市場で購入しそのまま整経(縦糸を織り機にかけるために準備する工程の一つ)していたのですが、そのまま同じように綿の糸を使うと糸自体が柔らかいこともあって毛羽立ちなどが起こり糸が切れやすくなってしまうため強度を増していかないとなりません。
綿の糸は切れるから出来ない、といわれればじゃあのり付けをして糸を強くしよう!ということです。
センター長も、生徒も半信半疑でこの糸にのりをつける作業を始めました。
生徒はかなりふざけています。こんなので糸が変わる分けない!というのを私にわからせようとするかのような良い笑顔?の写真をぱちり!ヌヌヌ、見ておれ!
この生徒たちは私がいる以前から織物をしているのでなかなか私を認めてくれないのです。
踏ん張りどころです!手前からスダン、スレイオーン、ポアン、ソピアップ。今ではすばらしい先生になっています。